粘り強くあきらめない!
私が弁護士として最初に執務した法律事務所は東京の池袋にある「東京パブリック法律事務所」という東京弁護士会が開設した公設の法律事務所でした。
公設事務所には、障害や難病を抱えた方、貧困のために弁護士を雇えない方、他の法律事務所で断られ続けた方など、さまざまな困難に直面している方が相談にお越しになられます。抱えているトラブルも色々な面で難しく、相談数も多いため、東京パブリック法律事務所はまさに「市民の法的駆け込み寺」の名のとおり、昼夜問わず電話が鳴り続ける、野戦病院のような事務所でした。
弁護士も心が折れそうになるときもありますが、それでも目の前で困っている相談者のために簡単にあきらめるわけにはいきません。公設事務所の弁護士たちは、最後の砦として、創意工夫と粘り強さで少しでも良い明日になるように頑張る、そんな「公設スピリット」を持って日々執務していました。
東京パブリック法律事務所で培ったスピリットは今も私の中に宿っています。
この事件はどうしても負けることはできない。そんな事件がありました。判例や実務からすれば負けてしまう状況でした。しかし、依頼者の方とあきらめずに粘って粘って頑張っていたら、本当にギリギリのところで起死回生の証拠を入手して無事に勝利できたことがありました。「粘り強くあきらめない」、やはり重要なことだと認識した事件でした。
当事務所には「他の法律事務所に相談して依頼を断られた方」や「評判を聞いて最後に当事務所の弁護士に相談してみようと思って相談にお越しになった方」のご相談が少なくありません。
そのようなご相談はやはり難しい法的な問題を含んでいたり、解決に時間もコストもかかってしまうことが多いといえます。
「難しいですね。今回はあきらめましょう」
と回答することで相談を終わらせることはできるでしょう。しかし、本当にその回答しかないのか。私は、いつも熟慮します。
弁護士の言葉には重みがあります。「あきらめましょう」と弁護士が言うことでご相談者の方の人生が変わってしまうかもしれません。本当に解決する手段はないのか、少しでも前に進むやり方があるのではないか等、しっかりと検討した上で回答をお伝えすることが重要であると考えます。
少しでも良い明日になるよう一緒に進めていきましょう。あきらめる前にぜひご相談ください。